スクール運営

音楽講師の常識は生徒には常識ではない

スクールを運営するのにあたって、

講師として気をつけなければならないのは、

「これは常識」と思う事。

音楽を始めた当初は自分も知らなかったのに、

気がつくと自分の中で常識になっている事、ありますよね。

最初はみんな何も知らなかったはずなんです。

今は講師でも、初心者の時がありましたよね。

どんどん知識がつくにつれ、自分の中で「常識」に変わるんです。

自分がドラム講師をやってみて、

講師と生徒で出る、認識のズレを実感した事が何度かあります。

その体験から、

ついつい「音楽講師がやってしまいそうな事」について書いていきます。

ドラム講師目線になります。ご理解下さい。

ではいきましょー!

生徒さんは「カウント」なんて知らない

当方ドラマーなので、

演奏を始める時に1、2、3、4と「カウントを入れる」事には慣れています。

ライブでも入れますし、個人練習でも入れます。

入れる事が私の中では当たり前。

ですが生徒さんにとっては「カウント」なんて、当たり前ではありません。

私もやってしまうのですが、体験レッスン時は特に注意。

「音楽をやったことがない」方もたくさん来ます。

例えばメトロノームを鳴らして、

「この音に合わせて、右手、左手と交互に動かしてみましょう」

なんて練習。

「ではいきます。1、2、3、4」

なんてやりがち。

これでは少し説明が足りません。

「え?他になんか説明あったっけ?」と思う人は、

もう音楽に慣れている証拠です。

そもそも

「練習を始める前には必ずカウントを4ついれますね。

1、2、3、4と入れますので、そしたら一緒に始めましょう」

との説明があってしかるべきなんです。

できたら「試しにやってみますね」と、

実際見せるのが一番わかりやすいと思います。

百聞は一見にしかず。ですね。

この説明をしないと、生徒さんはピンときません。

カウント入れる前の

「ではいきます」で始める方もいれば、

「1、2、3、4」とカウント入れられたって、

そもそもピンと来てないから始められない方もいます。

最初は自分だってカウントなんて馴染みがなかったはずなのに、

「当たり前」に感じてしまうと、知らない間に説明を端折ってしまいます。

昔私も、先生に「カウント自分で入れてみて」と言われてすごい恥ずかしかったし、

うまく入れられなかった事もあったなぁ・・・。

これの注意したい点は、講師側は「無意識にやってしまう」という事。

生徒さんからしたら、たまったもんじゃありません。

だってよくわかってないのに、説明もそこそこに始められちゃうんですからね。

きちんと丁寧に説明するように意識しないと、

生徒さんの不満や、「よくわかんないけど、うまく出来なくて気まずい」

なんてイメージに繋がるかもしれません。

私は自分も初心に帰りながら説明するようにしています。

それでもたまにやってしまうので、

まだまだ意識しないといけませんね。

生徒さんは「意識して聞く」事に慣れていない

「ではメトロノームをよく聞いて、一人で合わせてみてください」

なんて、これもよくやりがち。

それだけではやっぱり少し説明が足りません。

ズレる方がほとんどです。

聞こえてても、聞こえないんです。

右から左に出て行くような。

最初はみんなそうです。

生徒さんが「自分はリズム感がないんだ・・・」と思う原因になってしまいます。

そもそも「メトロノームってなんだ?」ってなりませんか?

私は初心者の頃なりましたよ。

「なんかテンポをとるヤツ」ぐらいの知識しかありませんでした。

さらにいきなり「ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・ピ・・・」

と鳴らされても、「なんか音が鳴ってるな」ぐらいしか思いません。

それではイメージもつきづらいです。

なので私は

「今から鳴らすテンポは60というテンポです。

テンポ60って1分間に60回この「ピッ」て音がなるんです。

ちょうど1秒と同じなので、馴染みがある速さかと思います。

でも、『聞く』と『叩く』を同時にやるのは、結構難しいんです。

ズレても構いませんので、どちらも自分なりに意識してみてください。」

なんて説明するようにしています。

「いまから鳴るのは1秒と同じ速さ」

と言われればピンと来る方は多いと思います。

そしてお恥ずかしいですが、私はこの「1分間に〇〇回なるからテンポ〇〇」

というのを、大人になるまで知りませんでした。

聞いたけど忘れたのかもしれませんが

( ;´Д`)

「そういうものだ」と覚えたので、

知らなくても問題なかったといえばなかったですが、

知っていたら湧いて来るイメージは違ったと思います。

なんとなくよりイメージがあった方が上達に繋がります。

自分だったらどう教わりたかったか?

を考える事が大事ですね。

耳コピは知識があるから出来る事

ついこの前もレッスンでやってしまいましたが、

生徒さんがやりたいって持ってきた曲に、

「クローズリムショット」というテクニックが入っていたんです。

スネアドラムのフチだけを鳴らして、

「カッ」みたいな音が出るやつです。

そこで私は

「この曲、まだ使ったことないテクニックがあるけどやってみましょうか。

曲のここで『カッ』って鳴ってる、この音です」

なんて言ってしまいましたが、生徒さんは頭に「?」マーク出てました。

そもそも、知らない音は意識しないと聞こえてきません。

その「カッ」って音が聞こえるようになるためには、

先に知識や体験がないといけないんです。

なので、曲を確認してもらう前に、私が先に実際音を出して

「こんな音が出るテクニックがあります」と伝えるべきでした。

この時は順番が前後してしまいましたが、

出る音の説明をしてからもう一度曲を聞いてもらったら

「本当だ!『カッ』って聞こえる!」

と嬉しそうでした。

ミュージシャンが耳コピ出来るのは、

知ってる音、フレーズなどの知識がたくさんあるからです。

私は少なくとも、最初から耳コピなんて出来ませんでした。

練習していくうちに知識が増えてきて、

「音が聞こえてくるようになって」初めて出来るようになりました。

昔耳コピした曲を今やると「あれ?ここ間違ってたな」なんて経験ありませんか?

知識量によって、「聞き取れていなかった音がある」んです。

知り合いのドラマーさんが

「この曲、昔から何百回も聞いてるはずなのに、まだ聞こえてない音があったよ!」

と言ってるのを聞いて、ハッとさせられたことがあります。

多分私もまだまだ聞こえてない音があるはずだと。

講師になった今でもそうなのですから、

初心者ならなおさらです。

「聞こえていないが」当たり前です。

まとめ

私がやりがちな事を上げていきましたが、

どれもしっかりと意識をすれば防げる事です。

心あたりがあれば自分はどうか、考えてみてください。

「無意識に説明を端折る」が一番怖いですね。

「わからない」と言えない生徒さんもいます。

「なんでわからないの!」とか

「なんで出来ないの!」なんて先生にはなりたくないので、

しっかり生徒さん目線に立てるような講師を目指しています。

ドラム講師目線ですが、参考までに。

ではまた!(=゚ω゚)ノ